エンジニアに寄り添い、最良のキャリア選択をサポート/ROSCA株式会社 代表取締役 田原 貴一さんインタビュー

経営者インタビュー アイキャッチ画像 ROSCA田原社長

創業から3年目を迎え、活気にあふれるROSCA株式会社。今回は代表取締役の田原 貴一さん(ロスカ・たはら きいち)に、AMU代表の鹿倉安澄がインタビューしました。穏やかで優しそうな雰囲気の田原さん。現在は、エンジニア専門の人材紹介事業を展開されています。起業に至った経緯や力を入れている事業についておうかがいしました。

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家業を継ぐつもりで働くことに向き合う日々

大学のゼミの先生と田原さんが対談するYouTube動画を拝見しました。大学生のうちから経営者になる前提で積極的に“働くこと”に向き合っていたと知り、田原さんはどのような道を歩んでこられたのだろうと、非常に興味を持ちました。

田原 もともと家業を継ぐつもりでいたので、いずれ経営者になることを意識していました。でも、大学在学中に父を亡くし、その時期が思っていたよりも早まりました。
事業承継予定とはいえ、まだ学生の身です。社会経験を積まずには家業を継げないので、人材紹介を行うベンチャー企業に就職。その間は、母が社長に就任し、中継ぎ投手の役割をしてくれました。

なぜ人材紹介を行う企業を選んだのでしょうか?

田原 最初から人材紹介の仕事に就きたいと思っていたわけではないんです。社員数がそこまで多くないベンチャーで、勢いがある会社で経験を積みたいと思って探していました。

偶然出会ったのが、エンジニア系の事業を行う会社です。大学4年生からインターンとして働き、そのまま新卒で入社しました。そこで初めて、今の事業につながる人材紹介の仕事に触れたんです。
ただ、その頃は「成績を出せればそれでいい」という考え方だったので、今とはだいぶ違いますね(笑)

田原さんは、入社1年ほどで営業でトップに。それから半年間、成績をキープし続け、ご自身の成長は感じられていたそうです。

image1エンジニアに寄り添い、最良のキャリア選択をサポートROSCA株式会社 代表取締役 田原 貴一さんインタビュー

他領域でも成果を出せる営業スキルの獲得を目指して

田原 目標であった営業トップは獲りました。でも、「人材領域では可能だったが、他領域の営業でも成果が出せるのか」と疑問に思い始め、転職することにしました。

退職したのは入社2年目の12月、「まだ若いし、次の会社に行ってみよう!」と、不動産のシステムを販売する会社に転職しました

営業にこだわっていたのは、ご実家がネジと金属加工の専門商社であったから。まさに営業力がモノをいう世界、先を見据えての選択でした。

しかしながら、現在は全く別業種の会社を起業されています。どのような経緯があったのでしょうか?

田原 私はずっと“実家の家業を継ぐこと”を第一に優先して動いていました。だから、「自分で起業する」なんて、当初はまったく考えていませんでした。キャリアアップしていったのも、基本的には「家業を継ぐための経験を積みたいから」だったんです。

事業承継予定で実家に戻ったものの…

田原 数社で経験を積んだ後、事業承継するつもりで役員として入社しました。

最初に任されたのは、想定していたネジの卸売部門ではなく、その当時、5、6年赤字が続いていた製造部門でした。営業する気で戻ったのに、「どうにかしてほしい」と任されたのは工場管理だったんです。

当時20代後半で、営業職からいきなりの工場管理。それも、後継者とはいえ、下積みをする時間もなく、年上の職人さんに囲まれてのお仕事。戸惑いはなかったのでしょうか?

田原 父が創業した会社を、ずっと支えてくれていた職人さんも多く在職していました。

もちろん反発がなかったといえばウソになりますね。戸惑いはありましたが、目の前にある赤字事業を何とかすることが先決です。

まずは製造部門の現状把握に努めました。そして、「なぜ赤字なのか、誰もわかっていない」状況なのだと知ったんです。
半年間は数字を拾い続け、現場を見て回りました。「何をどれくらい仕入れているのか?」をまとめて提出してもらい、全体を把握していきました。全体像が見えなければ課題も見つけられませんから。

無駄を省き、規律を正し、少しずつ課題を解決していった田原さん。一つ一つ課題をクリアしていく中で従業員のモチベーションも上がり、黒字化していきました。

黒字化に成功。そして、起業を決断

田原さんとお話ししていると、「課題を見つけ、解決すること」に面白さを見出しているように思えます。“課題”が何であろうと道を切り拓いていく強さが、田原さんの一番の武器なのかもしれません。

任された部門の黒字化に成功したものの、次第に「自分で1からスタートする会社を創りたい」という感覚が強くなっていったといいます。

田原 会社に根付いたスピード感や歴史に触れ、家業に深く関われば関わるほど、「歴史の中で創られた色すべてを、私が変えることはできないのだ」と強く思うようになりました。この会社はこれまで培われたスピード感で物事を進めていかなければ、うまくいかないのだろうと気づいたんです。

家業は、50年近くネジを製造していて、歴史が長い会社。その事実は覆せないし、崩さないほうがいいと思いました。

その時に改めて「自分の会社を創りたい」という想いが湧きあがってきました。そして、起業すると決めたんです。

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エンジニア専門エージェントとしてユーザーに寄り添いたい

どんな事業をしようかと考えた時に、田原さんの頭に浮かんだのは、在職期間が一番長かったエンジニア専門エージェントでした。

田原 新卒入社したエンジニア系人材紹介会社を辞めた後、不動産営業に転職。そして、実家に戻る直前に勤めていたのも、エンジニア専門のエージェント事業を行う企業でした。数字が重要視されると承知のうえでの入社。エージェント事業の立ち上げを任され、目標を定めて、営業活動に勤しみました。

数値目標に向かって邁進していましたが、ある時期から「ユーザーに寄り添えていないのではないか」と思い悩んでいたそうです。

田原 「数字は大切だが、そればかりにとらわれていていいのか?」と疑問に思い始めていたんです。ユーザーであるエンジニアのキャリアにもっと寄り添った提案をすべきなのでは?と考えていました。

そして改めてどんな事業をやりたいか考えた時に、その頃の気持ちを思い出し「エンジニアのキャリアをトータルサポートしている会社はまだないのだから、この事業をやってみよう!」と決めたんです。

フリーランスのエンジニアが増えたのはここ十数年。競合が多いとはいえ、成熟したサービスがあるとは言い難い現状に、チャンスがあると考えたのですね。

ROSCAフリーランスとROSCAキャリアの両輪でエンジニアをシームレスにサポート

現在、「ROSCAフリーランス」「ROSCAキャリア」の二つのサービスを提供しているROSCA。

田原 ROSCAフリーランスは、フリーランスのエンジニアさんと、エンジニアの力を欲している企業とをマッチングするサービスです。

それに対してROSCAキャリアは、エンジニア専門の“お試し転職”が可能なサービスです。最初の数か月間は業務委託で就業し、企業と転職希望者が相互にマッチするなら正社員登用されます。

エンジニアの現状

エンジニア市場では、現在、圧倒的に求人過多でエンジニアが不足していると聞きます。

田原 どの企業も人材を欲しています。エンジニア側が企業を選べる状況にありますね。ただ、引く手あまたとはいえ、正社員として入社後に「自分のやりたい仕事ではなかった」「事業方針に合わなかった」と気づいても、辞めるのは大変です。そんなミスマッチがゼロの転職を支援したいと、ROSCAキャリアをスタートさせました。

ROSCAフリーランスにおいても、キャリアアップにつながる仕事をご紹介したいと思っています。

雇用形態が変わっても、エンジニアのキャリアはシームレスに続いていく

一般的なエージェントでは、フリーランス向けと正社員向けで事業部は別。フリーランスの職を希望する人に、わざわざ正社員への道を勧めはしないとか。

考えてみれば、エージェントはフリーランスと企業の間に立ち、そのマージンが利益となるのですから、違う事業部に売り上げを渡そうとしないのも当然です。

「シームレスキャリア」を掲げられていますが、“シームレス”とは何を指しているのでしょうか?

田原 ROSCAでは、フリーランスと正社員希望の方を区別せず、個々に合った雇用形態を提案しています。それは、エンジニアの皆さんにとって最良のキャリア選択をしてもらいたいからです。継ぎ目なくサポートを続けるという意味で、“シームレス”を使っているんです。

エージェントにとっては、相談者さんとの付き合いはその場限りと考えてしまいがちですが、相談に来てくださったエンジニアさんにとっては、これからも続くキャリア形成のほんの一場面です。ミスマッチな職をご提案したら、今後のキャリア形成に大きな傷を残す可能性だってあります。

フリーランスを望んでいても、場合によっては別の選択肢を示してくださるとは驚きました。エージェントさんは、一件一件、よく考えて対応しなければならないので、大変な手間がかかりそうに思えます。

田原 専門学校でプログラミングを学んで、すぐにフリーランスを希望する人がいたら、いったん正社員として経験を積むように提案するケースも多いんですよ。中にはいきなりフリーランスとして独立し、キャリアアップできる人もいますが、ほんの一握り。

数十年続くであろうエンジニアとしてのキャリアの第一歩。企業に属して、給与を得ながら学べる環境に身を置いて、ある程度の修業期間を経てからフリーランスになったほうが、ステップアップしやすいと思います。

最新の情報に触れて、スキルアップが加速するのも企業に所属しているからこそ。フリーランスになった後は、無償で教えてくれる人はいません。すべて独学です。

でも、人それぞれ事情があります。頭ごなしに否定するわけではないんです。

じっくりと話を聞いて、生涯のキャリア形成という視点を持ちつつも、現状にフィットする雇用形態や職務内容を提案しています。他社との大きな違いはここだと思います。

image3エンジニアに寄り添い、最良のキャリア選択をサポートROSCA株式会社 代表取締役 田原 貴一さんインタビュー

長い人生の中で“仕事”は大きな割合を占めています。田原さんやROSCAスタッフの皆さんのように、エンジニアさんの人生を自分事として捉え、キャリアプランを共に考えてくれる人が身近にいたら、どんなにか心強いことでしょう。

noteTwitterなどでも積極的に情報を発信していらっしゃいます。“中のひと”が見えるのも、安心材料の一つですね。

身近にいるフリーランスのエンジニアさんが仕事を探していたら、「絶対にROSCAさんのサービスをおススメしよう」と思いました!本日はお話、ありがとうございました。

聞き手:AMU代表 鹿倉 安澄

プロフィール

田原 貴一(たはら きいち)
ROSCA株式会社の代表取締役。エンジニア専門エージェントとしてこれまでに1000人以上のキャリア形成に関わる。必要に応じて働き方を変える【シームレスキャリア】の提唱者。エンジニアファーストなサービス提供を徹底している。

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この記事を書いた人

浦和出身。法政大学文学部日本文学部卒業。
新卒で大手外食チェーンに入社し、新規店舗立ち上げを経験。
2009年、NPO法人に就職。最終的に毎月5,000部発行する月刊誌の執筆・編集を担当した。
2017年、Photoshopを使用した画像加工の職に就く。
その後、広告代理店で経理業務、Web制作会社で記事作成の一連の業務とマネジメントを担当し、2021年、株式会社AMU設立。

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