クリエイター 谷脇栗太×AMU代表 鹿倉安澄ロゴ制作ストーリー

2021年1月13日、AMUはスタートを切りました。
設立から8ヶ月、いただいている執筆のお仕事をしながら、これからどんな事業ができるのだろう、と毎日ワクワクしています。

社名のAMUには、ことばを「編む」ように、文章を創り上げていきたいという想いを込めています。そんな想いをのせたロゴデザインは、クリエイターの谷脇栗太さんにお願いしました。
今回は、自社コラムの一本目として、谷脇さんとAMU代表の鹿倉の対談をお届けします。独特の世界観をお持ちの谷脇さん、普段の活動についてのお話もうかがいました。

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生き物のイラストがつないだ縁、AMUのロゴ制作

鹿倉:お話しするのはロゴ制作をお願いしたとき以来ですね。谷脇さんの作品やデザインにひとめぼれして、「ロゴは、ぜったいに谷脇さんにお願いしたい!」と思っていたくらいなので、今日は他の作品についてのお話も期待しています!

谷脇:ありがとうございます。そう言っていただけるとうれしいです。ロゴ制作はメイン業務ではないのですが、これまでもご依頼いただくことがありましたので、楽しんで取り組めました。

「怪獣」や「島」をテーマに制作するクリエイター谷脇栗太

鹿倉:ホームページをあらためて拝見したところによると、なにやらいろいろな活動をされているとか?

谷脇:そうなんです。デザインやイラスト製作、グッズ販売、自作のラジオドラマの朗読など、いろんなことをやってます。
モチーフは生き物・宇宙・怪獣…。結構、マニアックなものも作っていると思います(笑)

鹿倉:谷脇さんの作品にはいろいろな「生き物」が描かれていますよね。そんなイラストたちにビビッときました!
私は熱帯魚を飼っているのですが、小さな世界で動き続ける姿にロマンを感じ、気づくと数時間経っていることもあって。
谷脇さんのお描きになる絵は、動物たちへの深い愛情が伝わってきつつも、どこかシュールでユーモアがあるというか、私にとって、とても魅力的です。

それから、こだわりのある方なんだろうなぁと。私たちの文章への姿勢と共通点があるようにも思い、勝手に親近感を持っていました。

谷脇:こだわりは…、ある方かもしれませんねぇ。 クセのあるもの、一歩踏み込んだものを作るのが好きで、その意味では、怪獣のイラストは得意分野です。

鹿倉:怪獣って、ゴジラとか、ウルトラマンに出てくるような?

谷脇:そう、怪獣や怪獣映画が好きなんです(笑)なぜ建築物が壊されたり壊されなかったりするのか、理由を考察してみるのもおもしろいんですよ。
東京タワーは怪獣映画の常連ですが、スカイツリーは、僕の知るかぎり、今のところまだどの怪獣にも破壊されていません。

谷脇:怪獣というと、子ども向けのもの、というイメージを持たれるかもしれませんが、「オリジナル怪獣」を描いて欲しい、というご依頼をいただくことがあります。僕のように根強い怪獣ファンの方がいるんだと思います。
怪獣は創造上の生き物、正解・不正解がないので、のびのびと描けて楽しいですね。

鹿倉:怪獣を求めている方が思いのほかいるんですね。ほかに力を入れている作品はありますか?

谷脇:イチオシは、島です。僕は、架空の島を作って販売する「島売り」としても活動しています。

島は、海によって外界と隔てられた閉じた空間で、独自の地形と文化がある。もしかしたら、かなり奇妙な文化が残る島や、まだ誰にも発見されておらず、伝説として語り継がれる「幻の島」があるかもしれない。

僕たちの想像をかきたて、どこか未知の要素を秘めたものが島なんです。

企業ロゴ制作は、広がるデザインを意識する

鹿倉:興味深いお話が多くて、だいぶ長くなってしまいました(笑)では、そろそろロゴ制作のお話しに。
文章だとまずは構成案から作るんですが、デザインの場合は何から始めるんですか?

谷脇:今回はデザイン案の基本形として、アルファベットの「A」からスタートしました。イメージを膨らませるために、ラフスケッチを思いつくままに、どんどん書いていきました。

AMUのロゴのラフ案 谷脇栗太

鹿倉:AMUの「A」からスタートしたんですね。

谷脇:アウトプットだけでなく、世の中に「A」をモチーフにしたどんなロゴがあるのかも、ざっと調べました。また、普段から「いいな」と思ったデザインをストックしているので、それらも見返しました。

鹿倉:谷脇さんに依頼する前に、実はちょっと自分でも作ってみたのですが(笑)アルファベット1文字をモチーフにすると、どうしても他と被ってきてしまって。真似したつもりはなくとも、似てしまうことはあり得るので、どんなときもリサーチは大切ですね。

谷脇:それから、自分が「できる」パターンには落とし込まないように、ストレッチ的に、発想を広げることを意識しながらの作業でした。

鹿倉:私が文章を書くときも、初めての分野はざっくりしたリサーチからスタートします。「創り上げる」作業だからか、やはり共通点が多いですね!

谷脇:あとは、「単品で使える」うえに、「並べることで広く展開もできる」デザインを意識しました。企業ロゴは、名刺やウェブサイト・看板などあらゆる場所に使います。細かいデザインだと印刷で潰れてしまうこともあります。だから、デザインの拡張性も大切だと考えています。

社名の由来を視覚化し、オリジナリティを高める

谷脇:オリジナリティを出すには、社名の由来をどうデザインに生かすかが大切な要素でした。
今回ヒントになったのは、社名「AMU」の由来になった「編む」です。

鹿倉:「編む」いうのは、糸を編みこむように、お客様と私たちとで文章を創りあげたい、というメッセージを込めています。AMUのスタッフは全員、1人の力ではできないことも、1人がたくさん集まれば、足し算以上の大きな力が生まれると信じているんです。

谷脇:そのお話をうかがっていたので、デザインに取り入れ、視覚化しようと思ったんです。

「編む」という言葉からは、2つのコンセプトが浮かびました。1つは、テキストが並んでいるようなイメージ。もう1つは、毛糸や紐が組み合わさっていくイメージで、まさに「編み物」とか「組紐」ですね。

これらを軸に描いていったラフの中から、いったん3つをセレクトしてお見せしました。

AMUのロゴデザイン3案

鹿倉:いろいろ考えてくださったなかで、どうしてこの3つを選んだんですか?

谷脇:この3つは印象がけっこう異なるので、これに対する感想をもらえば、目指すべき方向性を決定できると思ったんです。

鹿倉:「この案で決めよう」というよりは、クライアントの方向性を探るためのものだということですね!それにしても、だいぶ、ふんわりした情報しかお伝えしていなかったような気が…。
「こんな感じでお願いします」って最初にきちんと説明すればよかったんですが、どうも苦手で…(笑)

谷脇:全然、問題ありません。最初から具体的に言葉で聞いてしまうと、僕自身がそれにとらわれてしまうとよくないな、と、と感じることもあります。

もちろん、「こういったイメージで」と決まっている場合はそれに沿って制作します。だけど、「想い」さえお聞かせいただければ、それをデザインコンセプトに落とし込む部分は「おまかせ」でもOKです。

鹿倉:餅は餅屋、ということですね。「おまかせ」してみて、(1)の鳥が出てきたのは意外で驚きでした!将来、オカメインコと暮らすのが夢なので、鳥に心惹かれました。

谷脇:アルファベットのAと、AMUさんのやりたいことである「想いを言葉にのせて(遠くまで)届ける」をかけあわせたら、鳥が出てきたんです。

ただ、鳥というモチーフは、少し具体的すぎるのかも、という気持ちもありました。ロゴはある程度、いろんなものに見えた方がユニークかなと僕は思うので。

鹿倉:私も、鳥が気に入ったのですが、事業内容と会社のイメージに合うもの、と考えて、最終的には(2)かな、と思いました。

AMUロゴ

谷脇:(2)のデザインのスタートは、組紐や編物でした。編み目を文字列として見せられたら面白いな、と思ったんです。この編み目のデザインをもとに、組み合わせると左上から順番に「A」「M」「U」になっています。

組紐のイメージ画像

鹿倉:編み目だけど、実は文字にも見える。気づくとちょっとうれしくなるデザインです。
このデザイン、編み目の一目が葉っぱのようにも見えますよね。言葉は「言の葉」、私たちにぴったりだと思いました!

心を開いてもらえたみなさんのお手伝いをしたい

鹿倉:素敵なロゴを作っていただいて、本当にありがとうございました。ずっと使うものなので、愛着を持てるデザインになったことをうれしく思っています。

谷脇:気に入っていただけて、ホッとしました。

デザインのお仕事では、依頼者とのコミュニケーションを大切にしています。言葉になっていることはもちろん、できれば、言葉になっていない想いまでを汲み取って、僕を通すことで形にしてもらえればと思っています。

今回、そういうことができたのだとしたら、とてもうれしいことです。

株式会社AMUのロゴ

鹿倉:今後、挑戦していきたいことはありますか?

谷脇:デザインの仕事をはじめ、形にとらわれず幅広く挑戦していきたいですね。ご縁があって出会えた人の想いをしっかりと聞いて、それをアウトプットすることを心がけたいと思っています。

「面白いことをやっている人を応援したい」という気持ちも強いので、発信を続けながらいろいろな方とコラボレーションしていけると嬉しいですね。

鹿倉:本日は、ありがとうございました。私たちも、お客様と一緒に素敵なストーリーを編み上げられるよう頑張っていきます。いつかはコラムのイラストや書籍の表紙デザインなどで、また一緒にお仕事できればと思っています。

クリエイター谷脇栗太
クリエイター谷脇栗太
株式会社AMU代表 鹿倉安澄
株式会社AMU代表 鹿倉安澄

【谷脇栗太 プロフィール】
1988年 奈良県生まれ。大阪大学大学院文学研究科、修士課程2013年修了。印刷会社と出版社を経て2019年に独立。ギャラリー「犬と街灯」店主。

TANIWAKI KURITA  https://kuritam.tumblr.com/
ギャラリー「犬と街灯」  http://inumachi.main.jp/

【鹿倉安澄 プロフィール】
1981年 浦和生まれ。法政大学文学部日本文学科卒業。ワタミ社員・デパート販売員・通販受付・月刊誌編集部員兼ライター・遺影画像加工・WEB制作会社経理・WEBコンテンツディレクターを経て、2021年1月株式会社AMU(アム)設立。

note  https://note.com/a_shikakura/n/n50ca031fa01c
Twitter  https://twitter.com/ShikakuraA

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